職場に必要なのは、あなたのやさしさです?

多様な人が集まる「職場」という場に、必要なものって何だろう。SmartHRは障害者週間にあわせて、働く環境のアクセシビリティをテーマにしたショートムービーを制作しました。このページでは、映像に登場する各シーンの解説や、制作陣やキャストのメッセージをお届けします。

「職場に必要なのは、あなたのやさしさです?」 Special Movie about Accessibility

監督
高根澤 史生
制作
EPOCH

Powered by SmartHR

アクセシビリティとは

はじめに

この職場には、「やさしさ」以外にも必要なものがある

やさしさ。思いやり。手助け。社会で障害者と呼ばれる人々に対して何かが語られる時、こういった言葉が登場することがよくあります。多様性という言葉がごく一般的なものとなった今でも、障害者は日常的に他者の助けを必要とする特殊な立場の人々だという前提があることも少なくないと感じます。

でも、視点を変えて考えてみるとどうなるでしょう。障害者が他者の「やさしさ」なしに日常を過ごせない環境が生まれているのはなぜなのか。助けを必要とする特殊な人々として、異なる立場に置かれているのはなぜなのか。

多様な人が共に過ごす職場という場に必要なのは、誰かが誰かの「やさしさ」に依存しなくてもよい「仕組み」なのではないか。この映像は、そんな課題意識のもとに制作しました。

映像に描かれている職場の風景が、働く環境のアクセシビリティについて考えるきっかけに、そしてより多くの人を包摂する対等な社会のあり方を考えるきっかけになることを、願っています。

音声解説版・手話版

より多くの方にご覧いただけるよう、本動画は音声解説版と手話版も制作しました。また、通常版もYouTubeの字幕機能に対応していますので、最適な方法でご覧ください。

音声解説版

手話版

制作ドキュメント

撮影の裏側や、キャストや制作メンバーの想いに迫るドキュメント映像も制作しました。障害当事者キャストのリアルな声、制作陣のこだわりや葛藤を追っています。

「職場に必要なのは、あなたのやさしさです?」制作ドキュメント

動画シーン解説

本映像は、障害がある3人の社員の職場風景を描いた、2種類のCM映像と、その間を繋ぐ完成試写会のシーンで構成されています。

まず、前半のCMでは、障害当事者の方々が働く中で経験した実際のエピソードを元に、主人公の3人が職場で遭遇する不自由を同僚が「やさしさ」で助ける様子を描きました。その後、完成試写会のシーンで出演者たちが前半のCM内容への本音を語ったことで、職場に本当に必要なものは何か?を改めて問い直し、後半のCMでは「仕組み」によって不自由そのものが解消された風景を描いています。

このパートでは前半と後半のCMを取り上げ、主人公たちが前半の「やさしさ」で感じていたもやもやと、後半の「仕組み」で手にした心地よさを、BEFORE・AFTERで解説していきます。

Scene 1 助けるやさしさ?

Before 車椅子の女性に代わって、ドアを開ける同僚の女性と「助けるやさしさ」のテロップ

BEFOREでは出勤時にドアの解錠に苦戦していた車いすの女性に、同僚が駆け寄り助けるシーンを描いています。女性はやさしく助けてくれた同僚にお礼を言って中に入っていきますが、どこか申し訳なさそうな表情を浮かべています。

ドアの扉をなかなか一人で開けられない。車椅子に座っていると鍵のある場所が高くて苦労する。これらは、肢体不自由の方が感じることの多い問題です。

相手が快く助けてくれるとしても、このシーンで描いているように出入りする度に誰かに助けてもらう必要が生じるならば、手間をかけてしまっていることへの申し訳ない気持ちが募り、自由な行き来を遠慮することにも繋がってしまいます。

After ドアの前でスマートフォンを操作する車椅子の女性と「一人でできる仕組み スマートロック」のテロップ

AFTERのシーンでは、職場にスマートロックが導入され、車いすの女性が自力でドアを開けられるようになっています。一人で使えるこの仕組みにより、思うように腕が上がらない女性も手元のスマートフォンを使ってスムーズにドアを通過することができるようになりました。

BEFOREのシーンでは助けるために駆け寄ってきていた同僚も、AFTERではドアに向かっていく彼女を気にすることなく、軽やかに挨拶をしてすれ違います。日々の出勤や退勤はもちろん、ちょっとした休憩などで外に出たい時にも、気兼ねすることなく一人で行き来できるようになった女性。好きな時に一人で自由に行動できる心地よさを表現しています。

Scene 2 気づかうやさしさ?

Before デスクに座っている女性とタブレットを片手に笑顔を向ける男性 タブレットに手書きの文字で「次のミーティング任せてもらって大丈夫です(笑顔の顔文字)」と書かれている

BEFOREで描いたのは、仕事中の聴覚障害の女性を同僚が気づかう様子です。自席で作業をしている女性に同僚が見せたのは、「次のミーティング、任せてもらって大丈夫です!」というメッセージ。男性の配慮を感じて女性は笑顔で承諾の返事をするものの、一人になると浮かない表情になってしまいます。

聴覚障害の方々が抱えることが多いという、コミュニケーションの問題。今回の映像に関するヒアリングでも「職場で話し合いが始まっても『あとで内容を共有するね』と言われてその場に呼んでもらえない」「同僚同士の雑談やちょっとしたやりとりに入れず、孤立してしまいやすい」などの声が聞かれました。なかなか口に出せなくても、チームの一員として他の人々と同じタイミングで同じ情報を知りたい、もっと気軽にやりとりしたい、という気持ちを描きました。

After デスクの上のマイクとパソコン。パソコンには会話の書き起こしが表示されている。「会話に参加できる仕組み 音声文字起こし」のテロップ 会議室で笑顔で会話している女性と驚いた顔の同僚、「会話に参加できる仕組み 音声文字起こし」のテロップ

AFTERのシーンでは、職場のコミュニケーションに音声文字起こしアプリが導入され、聴覚障害の女性も職場で始まった突然の会議に参加できるようになっています。専用アプリを立ち上げるだけで、会話を即座に文字情報として見ることができるこの仕組みのおかげで、目の前の会話内容をリアルタイムで把握し、小さな冗談にも反応し、同僚たちとスムーズにコミュニケーションをとることが可能になりました。

気軽に会話に参加できることは、共に働く人々と良好な関係性を築くための基礎であり、障害の有無に関わらずその人に合った仕組みや方法が十分に提供される社会になっていってほしいと思っています。

Scene 3 やってあげるやさしさ?

Before コーヒーメーカーの前にいる白杖の男性と、横からコーヒーメーカーのボタンを押すスーツの同僚「やってあげるやさしさ」のテロップ

BEFOREで描いたのは、コーヒーを飲もうとする視覚障害の男性を同僚が助けるシーンです。視覚障害の男性がコーヒーメーカーのボタンを触っていると、彼がよくブラックコーヒーを好んで飲んでいることを知る同僚が現れ、横からブラックコーヒーのボタンを押してくれます。男性は同僚の心遣いに感謝しつつも、実は今日は違うものを飲んでみたいと思っていたんだけどな...と、少しもやもやした気持ちを抱えています。

よかれと思った他者に意図や状況を先回りされてしまうというエピソードは、視覚障害に限らず障害者の方々からよく耳にする話です。その場合にも相手が善意で助けてくれるということ自体には感謝の気持ちがあるため、受けたサポートについて「それはちょっと違うんだよな...」と思ってもなかなか伝えられないことが多いそうで、このシーンではまさにその様子を描きました。

After カフェラテのメニューに貼られている点字シールに触れる指のアップの写真 コーヒーメーカーのメニューの点字に触れている白杖の男性「自由に選べる仕組み 点字」のテロップ

理想を描いたAFTERのシーンではコーヒーメーカーに点字が付けられ、視覚障害の男性が自分で自由にコーヒーのメニューを選べるようになっています。その日の気分で選んだコーヒーを片手に、BEFOREのシーンでは助けてくれた同僚と、他愛ない世間話をしています。一人で自由に望むものを選べる仕組みの導入によって、助けを必要とする状況が減り、同僚との関係がより対等なものへと変わっていく様子を描きました。


今回の映像で、理想として描いたAFTERに出てくる3つの「仕組み」は、決して大げさなものではありません。手に届く範囲の工夫でも、職場はもっと働きやすい場所になる。それぞれの人が自分の力で使える仕組みを職場に加えることで、誰かが誰かの「やさしさ」だけに依存する必要がなくなり、多様な人が生き生きと働ける環境に近づくのではないかと考えています。

SmartHRとアクセシビリティ

映像の最後に、私たちSmartHRの開発するクラウド人事労務ソフトSmartHRを、音声読み上げ(スクリーンリーダー)で使用する様子を描いています。一人でも多くの人が使える仕組みになることを目指し、日々製品開発を続けています。

制作陣・キャストより

監督に高根澤史生さんを迎え、クリエイティブレーベルEPOCHとともに映像を作りあげました。障害がある社員役として出演いただいたのは、実際に障害当事者として生きる3名の方々です。制作陣と一部キャストのメッセージをお届けします。

立場が変われば、感じ方も変わる。僕らが制作の過程で痛感した、無知、おどろき。どうやったら視聴者に同じようにウソのない形で届けられるか?どうやったら企画の真意、根底に流れてる人間の尊厳のようなものを感じとってもらえるか?そこに集中しました。(マジメに言うと)

高根澤史生のプロフィール写真。THRASHERのキャップ、黒縁メガネ、青いシャツ
高根澤史生 / 映像監督

CM制作会社退社後、2002年からフリーランスとして映像演出をはじめ現在、TV-CM、WebCMなど、広告映像全般の、演出、 企画を手掛ける。深い洞察力からくる、リアルな人間描写を得意とする。

  • 第53回 ギャラクシー賞 CM部門 優秀賞 受賞
  • 第69回 広告電通賞 デジタルメディア広告電通賞/企業・公共部門最優秀賞
  • 第54回 JAA広告賞 消費者が選んだ広告コンクール 経済産業大臣賞
  • 第56回 ACC CM FESTIVAL インタラクティブ部門 グランプリ/フィルム部門 ゴールド

人には、やさしくしましょう。日本人なら誰もがこのように教えられてきたのではないでしょうか?

この映像は、僕らが持つ固定概念から生まれた企画です。前半はやさしくて素敵な世界のように見える。だけど、決してそうではなく…。もちろん「やさしさ」は必要なことですが、誰もがいつでも使えたり、参加できるような「仕組み」が加わることによって、もっと当たり前な社会にアップデートされることに気づけるのかもしれません。価値観の変化や、感情の起伏と共に、多くの方にアクセシビリティについて考えるきっかけになってくれたら嬉しいです。

佐々木渉のプロフィール写真。白いTシャツを着た男性
佐々木渉 / Creative Director, Planner / EPOCH Inc.

クリエイティブエージェンシー EPOCH に立ち上げから所属を開始。テクノロジーと映像の組み合わせを強みに、PR視点を持ったインタラクティブコンテンツ、映像、リアルイベント、OOHなど、統合的にプランニング、ディレクションを行うことを得意とする。主な実績に、SmartHR「“働く“の100年史」、Microsoft Surface「まだタイトルのない君へ。」、安室奈美恵のGoogle Chromeを使った世界初のミュージックビデオ「Anything」など。

なぜ働く環境のアクセシビリティを高めるのか、それはすべての人が働きたいように自由に働くためです。仕組みが整っていて、選択肢がいくつも用意されている職場であれば、人は自由に働くことができますし、そうでないと働けない人もたくさんいるはずです。働きたい人が自由に働く選択肢を持てること、それが自分が所属するSmartHRのミッション「well-working」の実現のために必要だと信じています。

今回のムービーの中で紹介した事例は、もしかしたら仕組みとしては小さなものと感じられるかもしれません。でも職場の環境ってそういうものも多いと思うんですよね。小さな仕組みの積み重ねが、職場に自由をもたらしてくれますし、仕組みは共に働く人が作っていけるものだとも思っています。この映像を通して、仕組みを作ることに社会が目を向けてくれればいいなと思っています。

桝田草一のプロフィール写真。マイクを持つ男性。メガネ、ひげ
桝田草一 / アクセシビリティスペシャリスト / SmartHR

株式会社SmartHR所属。アクセシビリティの専門家。プロダクトデザイナーとしてSmartHRに入社、その後プログレッシブデザイングループを立ち上げ、全社のアクセシビリティを推進している。

著書に「オンスクリーンタイポグラフィ」「Webアプリケーションアクセシビリティ」(いずれも共著)

私がアクセシビリティという言葉を知ったのは、SmartHRに入社した後のことでした。今回の映像にキャストとして出演している辻さんがよく口にする「『やさしさ』禁止」の考え方に初めて触れた時のことを今もよく覚えています。その時に感じた個人的な衝撃は、今回の企画を進める原動力になりました。

現在の企業や社会を形作る仕組みが誰を想定して作られているものなのか。「みんなが使える」の “みんな”からこぼれ落ちてしまうのは誰なのか。どうすれば、より多くの人を包み込める方向に変えていけるのか。考えるためのひとつのきっかけとして、多くの方にこの映像が届けばいいなと思っています。

中澤茉里のプロフィール写真。
中澤茉里 / 企画 / SmartHR

ウエディングや飲食業界での仕事を経て2020年SmartHRに入社。入社以来一貫してブランドマーケティング領域に携わり、オンラインイベント「WORK and FES」、働き方に関するアワード「WORK DESIGN AWARD」の立ち上げ、ブランドムービー「“働く“の100年史」の企画を担当。現在は2022年にスタートしたPodcast番組「WEDNESDAY HOLIDAY」の企画などに携わっている。

僕が職場で働くとき、同僚の優しさに支えられているなと感じることがよくあります。もちろん、その優しさには感謝しつつ「もし僕に優しく接してくれる同僚がいなくなったらどうしよう」と不安に感じることがあります。

より多くの人が自分の力で働ける仕組みを作ること、それは先に述べたような不安を少しでも減らすことに繋がりますし、これから同じ職場で働くかもしれない未来の同僚にとっても役に立つかもしれません。

この動画には、障害者として働く僕たちが普段感じている不安やモヤモヤを多くの人に知っていただき、働きやすい職場がもっと増えたらいいなという思いで出演しました。

辻勝利のプロフィール写真。ワイシャツの男性、
辻勝利 / アクセシビリティスペシャリスト / SmartHR
※本ムービーではキャストとして参加

先天性の視覚障害者(全盲)で20年ほどアクセシビリティ向上に携わる。2021年からSmartHRのアクセシビリティを高める活動に取り組む傍ら、オープンソースのスクリーンリーダー「NVDA」日本語チームや、筑波技術大学の非常勤講師としても活動している。『技術で解決可能なことを運用でカバーしない未来に向かって走ろうぜ』を目標に仕事に取り組んでいる。

SmartHRとは

株式会社SmartHRは、クラウド人事労務ソフト「SmartHR」を開発し、雇用契約、年末調整などの人事・労務業務をペーパーレス化し業務効率化を実現する機能や、人事評価、配置シミュレーションなど蓄積された情報を活用し組織戦略を支援するタレントマネジメント機能を提供しています。
労働にまつわる社会課題をなくし、誰もがその人らしく働ける社会の実現を目指し、働くすべての人の生産性向上を後押ししています。

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