ABOUT ACCESSIBILITY アクセシビリティとは
アクセシビリティとは「サービスや情報を利用できる人や状況の幅広さ」を意味します。
サービスや情報を身体・精神の障害の有無や年齢、得意な言語など個人の特性によらず利用できるかどうか、また、怪我をしている、病気をしている、外出しているなどの状況によらず利用できるかどうかがアクセシビリティです。
さまざまな人や状況において使えることをアクセシビリティが高い、逆に特定の人や状況においてしか使えないことをアクセシビリティが低い、と表現します。
障害を生み出す
社会の仕組みを変える、
という考え方
アクセシビリティの意義は「障害の社会モデル」と強く結びついてます。
これは、障害を個人の心身機能の障害という医学的な視点だけで捉えるのではなく、「人の障害は個人の障害と社会の仕組みの相互作用によって作り出されるものであり、だからこそ仕組み側の障壁を取り除くのは社会の責務である」とする考え方です。
例えば全盲の人があるウェブサービスを利用したいと考えたとき、目が見える人の手を借りなければ利用できないのであれば、その状況には確かに障害がありますが、高いアクセシビリティによって使いづらさを感じずに利用できるなら「今ここにおいて、目が見えないことは障害ではない」とも言えるのです。社会生活上の制限が生まれる原因を個人の特性に限定せず、社会の仕組みそのものをより多様な人が対等に利用できる形に変えることで障害を解消していこう、というのが障害の社会モデルが目指すところです。
SmartHRはこのモデルに共感し「働く中で必要なサービスや情報を利用できない人がいた時に特別な対応をするといった『やさしさ』でカバーするのではなく、より多様な人が使えるように仕組み自体を整備しよう。」という考えのもとに日々アクセシビリティと向き合っています。
アクセシビリティの重要性
働く環境において、アクセシビリティはどのように重要となるのでしょうか。
アクセシビリティを特に必要としている人、すべての人、企業・社会の3つの視点から考えてみます。
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障害者など、
アクセシビリティを特に必要としている人にとって今も企業の中には、アクセシビリティの不足によって仕事に必要なサービスや情報を自由に利用することができず、思うように能力を発揮できない人が少なからず存在します。
必要なサービスや情報を独力で利用できることは、障害の有無や置かれた状況に関わらず誰にとっても保障されるべき大切な権利です。企業や社会のアクセシビリティを高め、障害者を含む多様な人がサービスや情報を使えるように働く環境を整えていくことは、現在企業や社会の中で働きにくさを感じている人の人権を尊重することに直結します。
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すべての人にとって
働く環境のアクセシビリティは誰にとっても大切なものです。現在働くことに障害がないと感じる人にとっては、自分とは無関係に思えるかもしれません。しかしそれは「その人にとって働く環境のアクセシビリティがすでに十分なだけ」とも言えます。どれだけ高いアクセシビリティが必要なのかが人によって違うだけで、現状で足りている人とそうでない人がいるだけなのです。
また、より高いアクセシビリティはすべての人の利便性を向上することもあります。はっきりと見やすい文字はメガネを紛失したときや外出中の小さいデバイスでも社内の情報へのアクセスを容易にしますし、段差のない職場は重いものを運ぶ時や一時的に怪我をしてしまった時にも役に立ちます。高いアクセシビリティはすべての人のさまざまな状況において働く環境へのアクセスを実現するのです。だからこそ、働く環境のアクセシビリティ向上はすべての人にとって関係のある取り組みだと言えます。
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企業・社会にとって
社内手続きや情報共有など、働く上でのインフラとなる仕組みを身体的・精神的な特性によって使えない従業員がいる場合、企業は特定の従業員のために毎回特別な対応をしなくてはなりません。一回一回は大した時間でないとしてもその繰り返しは組織の生産性を低下させます。また、それが人事労務担当者や同僚の善意に基づくものであっても、毎回特別な対応を受けることになる従業員は「助けが必要な弱い人」という役割に押し留められてしまいます。
企業がアクセシビリティ向上に取り組み、多様な特性を持つ従業員が社内のサービスや情報を独力で利用できる環境を整えることは、これまで個別対応にあてていた時間をより価値のある仕事に使うことを可能にすると共に、手伝うー手伝われるの繰り返しで無意識に生まれてしまう組織内の非対称な関係を解消します。アクセシブルな企業が増えることは、組織の生産性向上だけでなく、多様な人が対等に働くことができる社会の実現も後押しするのです。
“誰も”が利用できない人事システムを採用すると何が起こる?
年末調整や従業員サーベイ、評価の実施や給与の確認など、全社員が使う人事システムであるSmartHR。
もしも企業内に、身体的・精神的な特性などを理由にSmartHRを使うことができない従業員がいたとしたら、
何が起こるのでしょうか?日々の業務で起こることを少し想像してみましょう。
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人事労務担当者・企業の視点
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システムを利用できない従業員向けに別のワークフローを作る必要が生じる
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特定の従業員向けの特別な対応が業務を圧迫し、重要度の高い業務に着手できない
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特定の従業員との間に助ける人-助けてもらう人という関係性が固定化し、組織に無用な上下関係が生まれてしまう
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システムが使えない従業員の視点
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全社員が一斉に年末調整を行う時に誰かに特別な対応をしてもらわなくてはならない
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入社手続きを誰かに手伝ってもらいながら進めなくてはならない
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毎月会社から送られてくる従業員サーベイに回答できず、自分の意見を伝えることが難しい
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フィードバックされた自分の評価結果を自由に見返すことができない
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給与明細などのプライベートな情報を家族や担当者に見てもらわなくてはならない
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業務の中で組織図や社員名簿を確認したくても、自力では閲覧できない
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これらは、障害がある従業員だけでなく、高齢の従業員、日本語が得意でない従業員、一時的な怪我・疾病を抱えた従業員においても起きる可能性のある事象です。
他の人たちと同じように人事システムが使えない従業員がいる状況は、使えないご本人にとっても、何かある度に対応する人事労務担当者や同僚にとっても負担が大きく、組織全体の生産性にも関わります。
SmartHRは、このような課題を一つでも減らすために製品のアクセシビリティ向上に日々取り組んでいます。